アカ族の奇祭として知られる、ブランコ祭り。
高さ4~5メートルもある巨大なブランコに、村人たちが乗り合う、というお祭りです。
時期は、例年8月下旬から、9月初旬ごろ。
日付は特に決まっていませんので、ブランコ祭りに行きたい場合は、アカ族の知り合いに場所と日時を確認する、という手間が必要になります。
そのため、ブランコ祭りは、名前だけはタイでそこそこ知られているのに、実際に見た人は少ないという、結構、幻のお祭りなんです。
祭りの時期は?
ブランコ祭りは、例年8月下旬ごろに行われますが、この日程は毎年違っていて、しかも、村によっても違いがあります。
ある村は8月下旬に開催したけれど、別の村では9月頭に開催、というようなことは、よくあります。
村ごとに開催日が違っている、というのも、なかなか面白いですよね。
アカ族の人が言うには、「祭りの日程が村ことに違っていれば、自分の村だけでなく、別の村にも遊びに行けるから、そのほうがいい」…のだそうです。
日程を決める係の人がいる
祭りの日程は、村の長老たちの話し合いで決定されます。
どのような話し合いが行われているのか、何を基準に日付を決めているのか、というのは、よくわかりません。
ものの本などには、「長老が神聖な儀式を行なって、日付決めている」というようなことが書いてありますが、現在のアカ族村では、そういった儀式らしい儀式もあまり行われなくなり、実際、村人たちを見ていると、「結構適当に決めてるんじゃないの?」と思ってしまいます。
日程が定まっていないのは不便
しかし、毎年村ごとに日程が違う、というのは、かなり曲者です。
これはつまり、村の祭りには、村の親類縁者しか参加できない、ということを意味します。
日本から観光に訪れた場合…
「来月のブランコ祭りは、何日ごろに開催されるの?」のようなことを聞いても、アカ族自身も、日付は直前になるまでだれも知りません。
こちらが「大体の日程でいいよ」と言っても、8月下旬なのか、9月上旬なのか、大体の日程すらもわからない、ということも往々にしてあります。
ですので、一番良いのは、タイに長期滞在している間に、アカ族の人とコネクションを持っておいて、
祭りの日程が具体的に決まったら、アカ族の人から直接連絡をもらう、というのが、最も確実な方法だと思います。
そもそもなんでブランコに乗るの?
さて、アカ族たちはそもそも、どうしてお祭りでブランコに乗るのでしょうか。
しかも、ブランコに乗るのは、主に若い女性です。
これには、次のような神話が残されています。
人類の始祖、スミオウの物語
その昔、まだこの地球に人類がいなかった頃、
一番最初に地上に降り立った人間は、「スミオウ」という名前で、男性でした。
最初の人間の名前が「スミオウ」というのは、なかなか興味深いです。
古代文明の「シュメール」や、日本の天皇の「スメラミコト」などの言葉とも、不思議な一致を見せています。
ひょっとしたら、ほかの国の古代文明とも、何か関係があるのかもしれませんね。
最初の人類は妖精と結ばれた
このスミオウが、最初の人間として地上に降り立ったとき、
一族を増やそうと思って、女性を探したのですが、女性はどこにも見つかりませんでした。
スミスは最初の人間なのだから、地球に自分以外の人間がだれもいないのは、当然です。
このあたりの創世神話のくだりは、聖書のアダムとイヴよりも、矛盾が少ないですよね。
アダムとイブの息子であるアベルは、別の国に、自分の妻となる女性を探しに行ったらしいんですが、
アダムとイブが最初の人間なのに、いったいアベルは、どこへ女性を探しに行ったのか?という矛盾は確かにあります。
それはさておき、スミオウは、この地上で、女性を探しました。
そこでスミスが見つけたのは、人間ではなく、なんと妖精の女性でした。
早速スミオウは、妖精の女性と結ばれたいと願い、2人は結婚しました。
こうしてスミスは、妖精との間に子孫を残し、その子孫たちも、妖精たちと交わっていって、こうして一族は、どんどん増えていった、と言われています。
つまり、人類が始まったばかりの頃、この地上には、妖精しかいなかった、ということなんですね。
その後、人間の男たちは、年に1回、妖精の女性たちの苦労をねぎらうために、ブランコを作って、妖精たちを喜ばせるための、お祭りを開いたそうです。
これが、ブランコ祭りのルーツだと言われています。
「女はみんな妖精」っていうのは、なんだかちょっとロマンチックですよね。
そんな女性たちの日々の苦労をねぎらうために行われるのが、ブランコ祭り、というわけです。
そのため、アカ族の女性たちは、老いも若きも、皆ブランコが大好きです。
ブランコに乗るのって、面白いの?
祭りのブランコは、主に山のてっぺんの、目の前の視界が開けたところを選んで、造営されます。
そのため、ブランコに乗ると、目の前には、どこまでも続く山の稜線が、まるでパノラマのように広がります。
大自然を眼下に望みながら、ブランコに乗って揺られていると、本当に、妖精のように空を飛んでいるような、そんな不思議な感覚に襲われます。
ひもの長さも、約5メートルと結構長いので、そのブランコに揺られて、「ひゅぅーん」と宙を舞うスリルは、体験する価値ありです。
機会があれば、ぜひ一度、アカ族村のブランコ祭りを、体験してみましょう。
祭りに参加するには?
ブランコ祭りに関心を持たれた方は、
こちらのメールフォームからご連絡をいただければ、ブランコ祭りの日程などを、メールでお伝えできます。
しかし、ブランコ祭りの時期を狙って、アカ族村に滞在しようと思ったら、最低でも1ヶ月のスパンは必要です。日程が直前までわからない、という事情から、
「8月中旬から9月中旬ぐらいまでの長い滞在予定の中で、どこかの村でブランコ祭りがあれば参加する」
というようなスケジュールでないと、参加するのはなかなか難しいです。
もしも、タイの滞在期間に余裕があれば、ぜひ、アカ族のブランコ祭りを、実際に体験してみましょう!