今回は、北タイ名物の黒いもち米、『カーオプック』の後編です。
【後編】
カーオプックを注文する時は、タイ語がわからなくても、焼いてるお餅を指さして、指で数量を示せばOKです。
七輪の前に、お風呂で使うような小さな椅子が出してあるお店はイートインが可能で、イートインかテイクアウトかを聞かれます。
タイ人は、お持ち帰りにして自宅で食べる人も多いんですが、焼きたてのおいしさを味わうなら、やっぱりその場で食べるのがベターです。
では、早速注文してみましょう。
カーオプックを七輪で焼くと、ゴマのの香ばしい香りが漂い、食べる前から鼻を楽しませてくれます。
カーオブックは、平べったく円盤状にして、下ごしらえをしておきます。
お店の人は、注文が入ると、これを七輪において、両面を焼きます。カーオブックの最大のポイントは、ここで甘い味付けをすることです。
現代では、市販のお砂糖を塗ることも多いですが、本来のカーオブックは、黒ゴマと黒糖をブレンドしたものをまぶします。
黒ゴマと黒糖がお餅で熱せられて、なんともいえない上品な香りを放ちます。
この香りが、またいっそう食欲をそそるんです。
インドフード屋台の「ロティー」のように、この円盤状のお餅をくるくると巻いて、バナナの葉っぱに包んで食べます。
寒風が吹きすさぶ冬の北タイで、焼きたてのお餅をフーフーしながら食べるのは、とても風情があり、体の芯から温まりますよ!
自宅でもできる? カーオブックの作り方
こんなにおいしくて、体にもいい料理なのに、「なかなか売っていないから食べるのを諦める」というのも残念ですよね。
でも実は、カーオブックは、自宅でも簡単に作ることが出来るんです。
材料は、黒もち米、黒ごま、黒糖、の3種類です。
このうち、黒ゴマと黒糖は比較的どこの市場でも売っているんですが、あいにく黒もち米は、チェンマイの都市部では主食として食べる習慣がないため、なかなか売っていません。
昔ながらの製法では、ちゃんと杵と臼を使ってもち米をつくのですが、
「家族でちょっと食べるだけ」というときには、袋の上からドンドンと叩いて、簡単に作っている家庭も多いようです。
「ビヨーン」という伸びは、杵と臼でついたお餅にはかないませんが、
棒で叩いたお餅も、これはこれで、おはぎのような食感でなかなかいけます。
万能健康食材、黒糖と黒ゴマの驚くべき効能
カーオブックの主役は何だと思いますか?
一見するとお餅が主役のようにも見えますが、私が健康食材として、あえて注目したいのは、
黒糖と黒ゴマです。
ではまずはじめに黒糖から見てみましょう。
ミネラルが豊富な黒糖
カーオプックの味付けで使用される黒糖には、ミネラルが多く含まれており、一般のお砂糖よりもはるかに栄養価が高いんです。
また、燃焼効率が良く、体内に蓄積されにくいため、血糖値が上がりすぎる心配もありません。
それに、こんなにも自然豊かな国に住んでいるんだから、工業製品のお砂糖よりも、どうせなら農家の方が丹精を込めた、手作りの黒糖をいただきたいですよね。
そのためうちでは、お砂糖の代わりにずっと黒糖だけを使っています。
おかげさまで血糖値もずっと異常なし、毎日健康で暮せています。
黒ゴマで、美肌と若返りの効果
黒ゴマは、タイ料理ではあまり使用されませんが、美容健康の効果が高く、最近つとに注目されるようになった食材です。
黒ゴマには大きく3つの効果があります。
1、美肌効果
黒ゴマには、ゴマ特有のゴマリグナンという物質が含まれていて、肝臓の機能を促進することが知られています。
老化の原因のほとんどは、肝臓から発生すると言われていますが、
このゴマリグナンの働きによって、新陳代謝が良くなり、お肌の細胞の代謝が促進されるんです。
特に女子は、黒ゴマを積極的に摂取して、お肌のツヤを保っていきましょう。
2、体脂肪を燃焼させる
細胞の中にあるペルオキシソームには、脂肪を燃焼する働きがあります。
黒ゴマに含まれている成分セサミンは、このペルオキシソームに働きかけて、活性化させる働きがあることが最近の研究で明らかになりました。
つまり黒ゴマを食べることで、体内の脂肪がどんどん燃焼されていく、ということで、これは糖尿の予防にもつながるんです。
3、ビタミンEの若返り作用
黒ゴマには、ビタミンEが豊富に含まれています。
ビタミンEは、血管内や血管壁にたまったコレステロールを取り除いてくれる働きがあり、高血圧や動脈硬化の予防にもつながります。
またビタミンEは、別名若返りビタミンとも呼ばれていて、抗酸化作用があり、体の老化を防ぐ働きがあります。
この他にも、黒ゴマに含まれている亜鉛には造血作用がありますので、貧血の防止にもつながります。黒ゴマは、ほんとに様々な効果のある、万能健康食材なんです。しかも、どこでも簡単に手に入ります。これをお料理に活用しないではないですよね。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、寒い北タイの冬にうってつけの、体を温める屋台料理「カーオプック」を、ご紹介してきました。
黒もち米、黒ゴマ、黒糖は、いずれも栄養価が高く、今後は健康食品としてもタイで注目されていく可能性大です。
特に黒ゴマは、12月から1月にかけてが収穫のシーズンですので、
この時期を見逃さず、ぜひチェンマイの金曜市場などで、「カーオプック」にトライしてみてください。
そして、万能健康食材である黒ゴマを日々の食卓にも取り入れ、健康な体を維持していきましょう!