あなたは、昆虫を食べたことがありますか?
タイをはじめ、東南アジアでは、昆虫を食べる風習があります。アカ族もその例に漏れず、昆虫食のレパートリーは、アジア随一です。
【昆虫料理】目次
以下のページでは、旬ごとの昆虫食をご紹介しています。
3月
4月
5月
アマガエルの串焼き
10月
はじめに
この章では、アカ族の昆虫料理について、ご紹介していきます。
もちろん、昆虫料理は、タイでもよく食べられているのですが、現在タイでは都市化が急速に進行していて、都市部のタイ人のなかには、
「昆虫なんて食べたことない」と言っている若者が、急増しているんです。
そのため、タイ人の間でも、昆虫料理というのは、むしろマイナーな料理、という位置づけになりつつあります。
一方、アカ族は老いも若きも、今もなお、昆虫を日々の食材として食べていますから、昆虫食のレパートリーが、とても豊富なんです。
もしもあなたが、アカ族の人と食事をする機会があれば、ぜひ、昆虫料理にもトライしてみましょう。
昆虫を食べた方がいいと言える3つの理由
そこで、まず初めに、
「昆虫を積極的に食べた方がいい」と言える、3つの理由を、ご紹介していきます。
理由1:飼育のための労力がかからない
虫は、特に飼育をせずとも、大量に繁殖してくれます。
牛や豚などの家畜は、飼育や交配に、多大な労力が必要になりますが、虫の場合、そうした労力はゼロです。
●人が何もしなくても、昆虫は勝手に増えてくれて、
●人はそのうちの、ほんの一部を食べればいい。
●そして来年も、昆虫はまた同じように増えてくれる。
という、まさに、ドラえもんの秘密道具のような、魔法の食材なんです。
理由2:飼育のための場所がいらない
「飼育場所がいらない」というのも大きいです。
肉牛を飼育するための牧場を1つ作ると、それによって東京ドーム何個分のものジャングルが焼き払われる、というデータがあります。
このことから、「肉食そのものが悪である」という考え方が、生まれてきています。
つまり、
●肉を作るためには、広大な牧場が必要
●その牧場を作るためには、ジャングルを焼き払わなければならない
●人類は、肉食を維持するためだけに、ジャングルを焼き払い続けている
●ジャングルを、ジャングルのまま残しておく方が、人類にとっては有益である
ということです。
これらの深刻な問題点を、一気に解消してくれるのが、昆虫食、というわけなんです。
理由3:餌料が不要
昆虫は、飼育のためのエサを必要としません。
昆虫たちで、勝手にその辺の草を食べて、勝手に成長してくれます。
しかも、よほど生態系のバランスが崩れない限り、昆虫の餌となる草がなくなる、という事態にはなりません。
つまり、昆虫が育成するために、人は、なんらのコストをかけなくてもいい、ということなんです。
タイでも養豚業は盛んですが、家畜のエサ代だけで、かなりの経費になります。
そのため、
豚のエサを買うために借金をして豚を育て、豚の肉を売って借金を返す
という、自転車操業のような養豚業者も、タイには相当数いるんです。
昆虫食にシフトすれば、エサ代の問題は一気に解消されます。
理由4:解体の必要がない
家畜には、解体という工程があります。
要は、人が愛情を注いで、手塩にかけて育ててきた動物を、自らの手で、その生命活動を終わらせるわけです。
これは、畜産業が抱えている、最大の矛盾の1つです。
テレビなどでは、牧場で豚を可愛がったり、羊を可愛がっている映像が紹介されたりしますが、それだけ可愛がっていた豚や羊を、食肉に変えてしまうという行為は、人間の数ある行為の中でも、最も矛盾に満ちたものの1つです。
だって、飼い猫に対して、普通はそんな仕打ちをしませんよね。
でも、なぜか豚には、それができるんです。
豚と猫、一体どこが違うのかという質問に、一体どれほどの人が、正しく答えることができるでしょうか。
私は、答えられません。
「だったら虫は可哀想じゃねえのかよ」という声が聞こえてきそうですが、虫の場合は、人間からはかなりかけ離れた存在です。
虫はちょうど、植物と動物の間ぐらいの位置づけですから、動いている植物を食べるような感覚です。
また、昆虫の多くは小型であるため、大抵は、ひと口で食べることができますから、その体を切断して解体する、という行為も不要になります。
昆虫食にシフトすることで、家畜を食肉に変えなくてもよくなる、というのは、かなりデカイと思います。
理由5:栄養素が完全すぎる
昆虫には、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
また、その豊富さもさることながら、ビタミン、ミネラル以外の様々な栄養素を全て含めた栄養バランスも、完璧なんです。
これはどういうことかというと…
虫1匹の中に、その虫が生命を維持するために必要な栄養素が、すべて詰まっている、ということです。
家畜の肉では、そうはいきません。鶏肉を例にとって考えてみましょう。
鶏のムネ肉には、豊富な栄養素が含まれていることが知られていますが、それでも、そのムネ肉の中に、バランスよくすべての栄養素が含まれているわけではありません。
ムネ肉には、胸の筋肉に必要な栄養素が、もも肉には、ももの筋肉に必要な栄養素が含まれています。
つまり、家畜は体が大きすぎて、部分ごとに分けて食べなければならないため、鶏トータルの栄養をいただく、ということができません。
一体丸ごとの栄養バランス、という点においては、非常に効率が悪いんです。
その点、虫は、一体丸ごとを、一食で食べきることができます。
虫が生命を維持するために必要な栄養素を、すべて一食のうちに、効率よく摂取することができる、
というわけです。
食糧危機に対応しうる最も優秀な食文化
虫はビタミン・ミネラルが豊富で、
また、飼育のための労力・土地・飼料を必要としない、という点で、「食糧危機に対応しうる最も優秀な食文化」という声もあるほどです。
もしもあなたがアカ族の村へ行く機会があれば、
ぜひ、旬の昆虫食にもチャレンジしてみませんか?