ここ最近、タイの学校の「腐敗」はすさまじいのですが、
そのことがよくわかるニュースが出ていましたので、ちょっと紹介してみます。
このたび、ナーン県ムアン郡内のとある学校で、
「学校指定以外の冬服を着てきた者は、没収」
という、とんでもない通達が出されました。
タイの学校には「冬の制服」というものがないため、
生徒は冬になると、各自が思い思いの防寒着を着て登校します。
しかし、このナーン県の学校ではそれを禁止し、
「生徒たちに学校指定の冬服を強制的に買わせる」
という暴挙に出たわけです。
この横暴な通達文は、生徒の保護者によって、ただちにフェイスブック上に投稿されました。
投稿はたちまち全国へ拡散され、コメント欄には、
「学校の息がかかった業者と結託して、無理やり売りつけようとしてるのが見え見え」
など、非難が殺到しました。
でもこれ、どう見ても、学校と業者がつるんでるのは間違いないですよね。
実は近年、タイ全国の学校で、学費がインフレ傾向にあります。
公立の小中では、一応、学費が無料ということになっていますが、
「維持費」や「設備利用費」「遠足交通費」などの名目で、何かにつけて生徒からお金が徴収されています。
これは、タイ国民の収入が上がったことで、
学校側も、「生徒から金を取れるなら取りたい」という発想になっているからです。
この時点で、すでにかなり「あくどい」のですが、その上、学校指定のジャンパーを買わせる、なんていうのは、
まさしく「吸血鬼」の所業です。
要は、タイの学校で、「お金のことしか頭にない」という校長や教師が増えているんです。
そもそも北タイの学校では、貧しい子供たちが海外の慈善財団などから援助を受けているケースも少なくありません。
その場合は、財団からジャンパーなどの防寒具も支給されたりするのですが、
そうした援助を受けている子供たちが、財団支給のジャンパーを没収されて、学校指定のジャンパーを買わされる…
これはもう、「矛盾に満ちている」と言わざるを得ません。
幸い、うちの子供たちが通っている学校では、「まだ」そういうことはないですが、
他の学校の話を聞く限り、「生徒が学校で物を購入させられる」というケースはちょくちょくあります。
学校指定の物を販売するのは、学校にしてみれば本当に「おいしい」ビジネスなので、
校長や教師に少しでも俗物根性があると、ついついやってしまうんでしょうね。
今回は、たまたまこのナーン県の学校がニュースになりましたが、
これはおそらく氷山の一角で、すでに全国の学校でも、同様の事例が起きていると推測されます。
校長が生徒に商品を売りつけ、校長がキックバックを得る……
こうなると、もはや学校はただの「無法地帯」です。
本当、こういう卑劣な行為を、当局にはもっと取り締まってほしいものです。