竹の筒の中に住んでいる、芋虫です。
旬は、10月~11月頃。
個人的には、一番好きな虫料理の1つです。
秋の珍味、竹芋虫
タイの山岳部では、8月ごろから筍(たけのこ)が生え始めます。
たけのこも、非常にオススメの春の味覚の1つですが、
このタケノコが伸びて、丈が伸び始めると、竹の筒の中で、蛾のが卵を産み、繁殖を始めます。
これが、今回ご紹介する、竹イモムシです。
この竹イモムシが、最も増え始めるのが、例年10月~11月ごろ。
ですから、大人になると、羽根が入って飛んでいってしまいます。
かといって、早く収穫しすぎると、まだ幼虫が大きくなりきっていません。
ですので、収穫の時期は、かなりの見極めが必要です。
芋虫は、森の貴重なタンパク源
この竹芋虫は、ほかの蝶類に比べて肉厚でジューシー。
なにしろ、1匹あたり体長約3センチで、太さは1センチ以上。イモムシにしては、かなりビッグサイズですよね。
そのため、昔から、北タイの人たちにとっては、貴重な動物性たんぱく質となっていました。
が、この芋虫は、竹の杖の中で生息していますから、あちこち探し回る必要もなく、収穫も、比較的容易です。
安定は、数が少ないこと。大の大人が1日中探し回っても、2kgを収穫できるかどうか、というレベルです。
そのため、竹芋虫は、かなり高価な食材で、1キロ当たり300~400バーツ(約千円)。
豚肉の赤身が、1キロ150バーツほどですから、竹芋虫は、豚肉の約2倍の値段、ということになります。
結構な高級食材ですよね。
食べるときは、油で揚げます。
味は、どちらかというと、フライドポテトのような感じ。
そのため、ケチャップをつけて食べると、かなりよく合います。
実際、事前に何も言われずに、目をつぶって食べれば、ほとんどの人は、「芋虫だ」とは、気づかないんじゃないかと思います。
そのため、リスクは「見た目だけ」です。
見た目さえ気にしなければ、栄養満点で、美味しく、しかも収穫もしやすい、ということで、
実は、かなり理想的な食材なんじゃないの?
と、思います。
タイの都市部では、あまり虫を食べなくなった
また、この竹芋虫は、アカ族に限らず、低地に住んでいるタイ人も大好きです。
しかし、その一方で、
近年では、タイ人も都市化が進み、
「虫なんて、気持ち悪くて食べられない!」と言う若いタイ人も増えています。
何しろ、タイ語の掲示板サイトを見ると、
「誰か虫食べたことある人いる?」のようなスレッドが立っているぐらいですから、
虫を「気持ち悪い」と感じているタイ人の数は、「意外に多い」という印象です。
でも、タイがそんなふうになったのって、たぶん、ここ10年ぐらいのことです。
20世紀までは、バンコクの市場でも、普通に虫の料理が販売されていました。
その当時、虫の料理を「気持ち悪い!」なんて言っているのは、外国人ぐらいだったのですが、
いつの間にかタイも、「タイ料理よりもハンバーガー」「無視の唐揚げよりもフライドポテト」という国になってしまったようです。
タイの田舎の人は、虫が大好き
でも、こうした傾向は、あくまでも都市部のこと。
別の記事でも書いていますが、タイは、都市部と田舎のギャップが驚くほど激しい国です。
チェンライなどの地方都市とバンコクを比べると、本当に「全然別の国なんじゃないの?」と思ってしまうくらい、人々の生活に違いがあります。
今回ご紹介している虫の料理などはその典型で、虫の料理に対する考え方は、田舎と都市部とでは大きな開きがあります。
タイの田舎では、竹のイモムシは、今なお、皆に愛されているポピュラーな食材です。
「秋の珍味」ということで、お土産として持っていくと、田舎の人にはだいたい喜ばれますし、
特に年配の方であれば、ほとんどの人は、竹のイモムシの唐揚げが大好きです。
ちなみに、食べ方としては、こちらの人は、塩で下味をつけて、油で揚げるだけです。
先程ご紹介したように、ケチャップがかなり合いますが、
それ以外にも、工夫次第では、様々な食べ方ができると思います。
焼肉のタレや、ウスターソースをかけてみたり、
あるいは、イモムシを油で揚げるのではなく、鍋で煮込んで、ポン酢で食べる、という手もあります。
子供も芋虫に抵抗がない
また、今回の記事のアイキャッチ画像を見てのとおり、小さな子供は、芋虫にほとんど何の抵抗もありません。
日本の子供が虫を怖がるのは、親が、虫を怖がっているからです。
竹のイモムシは、敵を噛んだり、毒素を出したりしませんから、基本的には全く無害です。
小さい頃から、芋虫を普通に食材として親しんでいれば、そもそも「怖がる」という発想自体がないんです。
「匂いがない」というメリット
芋虫は、栄養満点で味も美味しい、という以外にも、
「匂いがない」というメリットがあります。
豚肉や牛肉だと、肉の臭みというか、独特のにおいがありますし、食べた後で、体臭にも現れます。
なにしろ、大衆の最大の原因は「肉食」と言われているほどですから、動物の肉の匂いというのは、なかなか侮れません。
その意味で、もし料理は、肉料理と同じようにジューシーさがあり、たんぱく質を摂取でき、
なおかつ、食べたあとで体臭もつかない、という、まさに理想的な食材です。
10月、アカ族の村に来られた際は、ぜひ、竹のイモムシにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか!