今回は、育児に関し、
「きょうだいを仲良く育てるたった1つの方法」
について、お話をしています。
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うちに宿泊に来られたゲストの方々は、皆、口を揃えて、
「本当にきょうだいの仲が良いですね」
ということを、言ってくださいます。
これは、自然にそうなったものではなく…
親が、日常からかなり意識して、
「きょうだいが仲良くなるための方法」
を実践し、また、日々そのように仕向けているからです。
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「たった1つの方法」なんて、もったいぶった言い方をしてはいますが、
この方法は、別に、私がオリジナルで考案したものではなく、
伝統的なアカ族の村や、かつての日本でも、普通に実践されていた方法です。
「きょうだいを仲良く育てるための方法」は、いたってシンプルです。
それは…
家庭の中で、「序列」と「義務」を、厳格に、明確にすることです。
つまり、
「下の子は、上の子に逆らってはいけない」
「上の子は、下の子の世話をしなければならない」
…という、家庭内における「ルール」を制定する、ということです。
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たとえば…
うちでは、お菓子やお土産などがあった場合は、必ず、長男に全て渡します。
そのお菓子を、弟妹に配るかどうかは、長男に任せています。
長男がひとりで全部食べても構いませんし、
等分に配っても、長男が多めに取っても、すべて、長男次第です。
長男が、合宿などで家にいないときは、2人目の子が、この権利を獲得します。
要は、「長男が最大の権利を持っている」ということですが、
逆に言えば、「一番下の子は、一番権利が少ない」ってことになります。
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しかし、権利だけではありません。
当然、「義務」もあります。
一番上の子は、下の子たちの面倒を見なければなりません。
下の子に何か問題が起こった場合は、上の子の責任になります。
これが、上の子の義務です。
下の子は、「上の子に逆らってはいけない」というのが、義務です。
しかし、下の子は、上の子の言うことを聞かなければならない分…
上の子から世話をしてもらえる、守ってもらえる、という権利があります。
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上記のシステムを、一言でまとめると…
「権利と義務は、必ず釣り合ってなければならない」
「上下関係を明確にする」
ということです。
このシステムは、今のところ、我が家ではうまく機能しています。
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私も、これまで、様々な家庭を見てきましたが、
きょうだいの仲が悪い家庭は、大抵の場合…
「きょうだい同士の、権利と義務のバランス」
が、釣り合っていません。
世間一般の親は…
下の子ばかりを優先してかわいがり、何でも下の子に与えようとしてしまいがちです。
そして、上の子には、
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから、我慢しなさい!」
という風に、義務ばかりを押し付け、権利が全くない状態になっています。
これでは、上の子がグレてしまうのも、無理はありません。
上の子にしてみれば、「割が合わない」ってことになります。
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これは、別の言い方で例えると…
家庭内における「アルバイト」のようなもの、
と考えれば、分かりやすくなります。
例えば、
トイレ掃除のアルバイトを、「時給1,500円」だと言われたなら、
「じゃあやってみようかな」
という気になりますよね。
これは、仕事のつらさと時給とが、釣り合ってるからです。
しかし、
例えば、
富士山の5合目で、30キロの荷物を担いで歩くアルバイトが「時給1,000円」と言われたなら…
「そんな仕事、やってられるか!!」
と、なりませんか。
どう見ても、義務(つらい仕事)と権利(安い時給)とが、釣り合っていませんよね。
これが、世の中の多くの長男長女が感じている、ストレスです。
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つまり、世間一般の親たちは…
見返りのない、過酷な仕事を、長男長女に与えている、ってことです。
もちろん、それによって、「我慢強さ」や「責任感」などは、培われるかもしれませんが…
いつ、不満が爆発しないとも限りません。
また、長男長女の中で、「せっかく面倒を見てやってるのに…」という思いが蓄積されてしまうと、
下の子のことを、「嫌い」になってしまいます。
ですので、親や、周囲の大人は…
上の子に対し、できるだけ意識して、愛情やサービスを注いでいく必要があります。
それがあるからこそ、上の子は、「権利」に満足して、「義務」を果たしてくれるようになります。
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我が家では、
こうした「きょうだい間の序列」、
および、「きょうだいの義務と権利」を、厳格にしています。
結果的に…
我が家では、きょうだい同士の仲の良さを、維持できているのだと思います。