私は、妊娠中の女性は、「いかなる薬も栄養剤も、飲むべきではない」と、考えています。
理由は単純に、母体と胎児への悪影響が「怖いから」です。
妊婦や胎児に、どんな影響が出るのかも定かではないものを…
ただ「医師が勧めた」というだけの理由で、飲んでしまうリスクは、計り知れません。
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うちは日本での出産経験がないので、日本のことはよく分からないのですが、
タイの病院では、妊婦に対し、「つわり対策」と称して、「栄養剤」なるものを渡します。
30錠入りのケースを、「1ヶ月分」として渡され、
毎月の検診では、「先月分は全て飲みましたか?」と、医師に聞かれます。
タイの妊婦の多くは、医師の言うことに対し、「疑い」を持っていませんから、
この栄養剤を、「10ヶ月間、毎日飲み続けている」わけです。
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我が家では、これまでの妊娠中…
この、病院に渡される、妊婦用の栄養剤を、一度たりとも、飲んだことはありません。
もらったら、その日のうちに「廃棄」します。
もちろん、医師は、「妊婦や胎児の体に悪影響はない」と、言うのですが、
そんな理屈は、いくらでも言えます。
それに、「本当に全く悪影響がないのか」なんて、保証できたものではありません。
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この病院の栄養剤を飲んで、たとえ、外見上は「何の悪影響も発見されなかった」としても…
見えないところで、母親や胎児の体内に、何が蓄積されているか判りません。
しかし、タイをはじめ、発展途上国では…
「薬信仰」が激しいですから、病院から「飲みなさい」と言って薬を出されたら、
多くのタイ人は、何の疑いもなく、決められたとおりに、薬を飲みます。
そもそも必要なものかどうかさえも分からないのに…です。
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私が住んでいるアカ族の村は、昔ながらの伝統が残る地域ですから、
昔の妊婦は、だれも、こんな薬なんて、飲んでいませんでした。
つわりは、皆が自力で対処していました。
おそらく、昔の日本もそうだったと思います。
しかし近年では、
「つわり中の栄養を、いかにして補給すべきか」ということにばかりスポットが当てられ…
肝心の、「つわり中は無理に食べなくても良い」という、本来のあり方が、無視されているようなところがあります。
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もちろん、うちのお母さんにも、つわりはありましたが、
食べれないなら食べれないなりに、少しでも、食べられるものを、積極的に摂取するようにしていました。
でも、それで十分なんです。
人類は1万年ものあいだ、そうやって、つわりに対処してきたからです。
うちのお母さんは、病院で渡された栄養剤を、ただの1錠たりとも、飲んだことはありませんが…
元気な赤ちゃんを何人も出産し、その都度、母乳もふんだんに出ています。
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今のタイは、
「つわりで食事ができなくなれば、栄養剤」
「陣痛が足りなければ、帝王切開」
「母乳が出なければ、粉ミルク」
というふうに、何でもすぐに、「人工物」で対応しようとするところがあります。
でも、これらには、すべて「現金」が必要です。
もしも、タイで、ある日突然、現金の流れがストップしたり、
諸外国のような「ハイパーインフレ」なんてものが起こってしまうと…
現状のほとんどのタイ人は、現金の不足から、妊娠・出産ができなくなることを意味します。
そして、こうした「妊婦が摂取する人工物」に、少しでも、おかしなものが混ざっていたら…
母子ともに、多大なダメージを受けてしまいます。
これは、かなり由々しき事態です。
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そういうわけで、
我が家では、妊娠中の栄養剤はすべて「廃棄処分」にしていて、自然の食材だけを食べ、
自然の摂理にのっとった、妊娠~出産~授乳を、心がけています。
(つづく)