「スポーツをしている人は鬱になりにくい」
という話を、聞いたことがあるかと思います。
一見すると「もっともらしい」説ですが、
「本当にそうなのか?」というのが今回のテーマです。
今回は、
「スポーツが好きな人は鬱になりにくい」
この説が「正しくない」ということを検証してみようと思います。
◆ ◆ ◆
「スポーツが好きな人は鬱になりにくい」
こういう説は、主に病院や大学などで、「実際のうつ病患者」のデータをもとに作られます。
たとえば、
うつ病患者が10人いたとしましょう。
そして、スポーツ好きがそのうちわずか2人で、残り8人が、スポーツが好きでなかったとします。
この状況を見た医師や研究者が、
「うつ病患者にスポーツ好きは少ない」
↓
「スポーツ好きは鬱になりにくい」
という仮説を立てるわけです。
この論理構成は、一見、矛盾が無いように思えます。
しかし、、、
人が鬱になる上で重要なことは、
「そもそもスポーツにかけるようなエネルギーがない」
という点です。
鬱になる人の多くは、消耗しきってしまっていて、
「何かにエネルギーを投入する」
ということが出来ません。
これは別に、スポーツに限ったことではないのです。
ここで、冒頭のテーマ。
「スポーツと鬱の関係」を別の言葉で表してみると……
それだけエネルギーに余裕がある
しかし、
すでにエネルギーの大部分を消耗しているので、
スポーツに回す余力がない
と、言えそうです。
つまり、
「スポーツマンが鬱になりにくい」
のではなく…
「鬱になる人は、あらゆることに対して興味やエネルギーがないため、スポーツに限らず、そもそも何かをしようという気にならない」
ということなのです。
「鬱の解消のためにスポーツを始める」
という療法がうまくいきにくいのは、このためです。
一度鬱になってしまったら、「これをすれば治る」という特効薬的なものはありません。
スポーツをやる以前に、そんな気力さえも出てこないのが鬱というものです。
また、鬱になる人というのは、本当に千差万別です。
それまでにどれだけスポーツや活動をやっていようが、鬱になる時は、なります。
「100%効く予防法」なんてものはありません。
「○○の人は鬱になりにくい」
「××の人は鬱になりやすい」
こういう物言いはほとんどの場合、ただの「後付け」だと言えるでしょう。
逆に言えば、
鬱を過度に恐れる必要はなく、予防を考えすぎる必要もない、と言えます。
なぜなら、鬱は誰にでも訪れる可能性があるからです。
鬱になったことを「受け入れる」という姿勢がまず肝心です。