タイ北部の都市チェンマイで、「ある条件」と引き換えに無料で刺青(いれずみ)を入れてくれる彫師(ほりし)がいる、と話題になっています。
今回は、そんなタイの一風変わった彫師のニュースをご紹介します。
以下、地元新聞記事より抜粋。
噂の彫師は、チェンマイ市内ムーンムアン通りにタトゥーショップを構える若手彫師、オッタポンさん29歳。
彼が無料の刺青と引き換えに要求するものは、たった1つ。
それは、「臓器提供」である。
客は「自分の死後、チェンマイの病院へ臓器を提供する」という旨の書類にサインすることにより、無料で刺青を入れてもらうことができる。
この斬新なアイデアには、2つの大きなメリットがある。
1つめは、お金が無いために刺青を諦めていた若者に対し、刺青のチャンスを与えられること。
そしてもう1つは、刺青のイメージが良くなる、という点だ。
これまで刺青と言えば、タイでは僧侶がよく入れているが、一般人はどちらかというと、不良が入れるものというイメージがあった。
しかし、この「条件付き無料刺青」のシステムにより、
「自分の刺青は、臓器提供の意思を示した証である」と胸を張って言うことができるのである。
彫師のオッタポンさんは、次のように語る。
「以前、僕は母親の看病のために毎日病院へ行っていたことがあり、その時、健康な臓器を待っている人が大勢いる、という事実を知った。
自分もこの社会のために何か貢献したいと考え、彫師として、臓器提供者を募る手助けをしようと決めたんだ。」
この無料刺青のサービスは、若者の間で瞬く間に話題になり、すでに30人以上がこの店を訪れ、臓器提供カードと引き換えに刺青を入れている。
なかなかユニークですよね。
じつは、今回の彫師に限らず、
タイではこのシステムのチャリティーはけっこう一般的です。
職人が自分の技術を客に無料で提供し、それが仏教への帰依につながる、という考え方です。
タイでよくあるのは、「無料の散髪店」。
理容師は、無料で散髪する代わりに、その労働力を仏に寄進する(タンブン)、というわけです。
今回のニュースは、その寄進のシステムを、刺青にも導入した、ということですね。
しかもそれを、臓器提供と絡めたのは、非常にユニークだと思います。
このお店は、チェンマイ市内ムーンムアン通りのソイ2にあるそうです。
もしも読者の中で、
「刺青を入れてみたいが、費用が心配だ。
臓器提供にも関心がある」
というビンゴの人がいらっしゃれば、ぜひこの刺青店を訪れてみてはいかがでしょうか。