ソンクランで、水をかけられた側が、「迷惑行為」として訴えることがある、
というのをご存知でしょうか。
海外にも広く知られ、年々激しさを増しているタイの、ソンクラーン(水掛祭り)ですが、
実は、その一方で、たとえ祭り期間中であっても、
「水をかけられると困る」
という人も少なくありません。
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最も多いのは、「仕事中」にソンクラーンの騒ぎに巻き込まれるケースです。
・配達中の電化製品が濡れて故障したり、
・重要な書類を濡らされたり、
こうなると、当然、金銭的な損害が発生します。
あるいは、
・乳幼児の耳に水が入って中耳炎になったり、
・病人に水をかけて病状が悪化したり…
などなど、こうしたトラブルは、後を絶ちません。
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私自身、ソンクランの期間中に、小さい子供をバイクに乗せて外出する時は、緊張の連続なのですが、
「おいおい、かけたらまずいって分かるだろ? 察してくれよ」
って思います。
つまり、「かけられると困る人もいる」という、極めて常識的なことが、
「周知徹底されていない」という問題があるんです。
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法務省では、こうした事例が年々深刻化していることから、
ソンクラーンの水掛けによって「罰金刑」が発生する3つのケースを紹介し、国民に注意を呼び掛けています。
タイ刑法391条「迷惑行為」
・たとえ外傷や損害が発生しなくても、水を掛けられた側が十分な迷惑を被ったことが認められた場合、水をかけた側は、罰金1万バーツまたは禁錮1か月に処せられる。
タイ刑法309条「不法行為」
・水掛けを拒否した者に対し、強制的に水をかけた場合は、罰金6万バーツまたは懲役3年。
・上記のケースで、被害者に損害が発生した場合は、罰金10万バーツまたは懲役5年。
…と、法律の条文は、以上のようになっています。
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祭りとは言え、見境なく通行人に水をかけて、高額の罰金を徴収されることのないよう、
相手の持ち物や状態などにも、注意を払わないといけない、ということですね。
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…でも、そりゃあそうですよね。
100年前ならいざ知らず、現代では、祭り期間とは言っても…
その間、人民の経済活動がストップするわけではありません。
そうなると、当然、
「必要な用事があって外出するが、水をかけられたいわけではない」
っていう人も、相当数いるわけです。
不特定多数に「とにかく水をかけたい!」なんていう人は、こうした事情を理解できず、
脳が、100年前でストップしてるってことですから、当然、法律で取り締まる必要がある、ということなのです。
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また、近年は、タイ人のレジャーも多様化していますから、
「休暇だからって水かけなくても良くね?」
という人も増えています。
こういう人は、あえてベトナムやモルジブなど、水掛のない国に「避難」したりします。
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「誰彼構わず水をかけまくる」というスタイルは、あまりにも前近代的ですから、
いずれ、規制がかかると思います。
おそらく、近い将来、タイの水掛祭りも、「遊んでよい場所」が指定されて、公道でやるのは禁止になるかもしれません。