うちの子供たちが通っている、タイの公立の小学校では、
なんと、「制服と給食が無料」です。
この話をすると、日本人の人は大体、
「タイの学校は、生徒への援助が手厚いのですね、すばらしいですね!」
という反応をします。
でも、
「ところがそうでもない」
というのが、今回のテーマです。
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実は、タイの公立校では、「校長の権限が、とてつもなく強い」んです。
つまり、どういうことかというと…
・給食を生徒の昼食を、無料にするかどうか
・生徒に、制服を無料で配るかどうか
というのは、すべて校長が決める、ということです。
ですので、
うちの子供達が通う小学校で、制服と給食が無料なのは、
「今たまたま、校長先生が人格者だから」
というのが、唯一最大の理由なのです。
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うちの校長先生は、山岳民族の児童教育のプロフェッショナルで、
すでに20年以上にわたって、北タイの山地の小学校を歴任しています。
そのため、
山の子供やその家族たちが、学校にどういうことを求めているのか、ということを、ほんとによく把握してくれています。
うちの小学校で、「制服と給食が無料」なのは、
校長先生が、自身の経験をもとに、独自に判断して、実施している、素晴らしい措置なのです。
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でも、
いざタイ国内の小学校を見渡してみると…
・校長が、勝手に給食費をつり上げる、または給食の量を減らす
・校長が、学校の給食を勝手に廃止する
・校長が、校長室に高額のエスプレッソマシンを設置する
…等々、私服を肥やす校長先生のニュースが、ほぼ連日、報道されています。
これら一連のニュースは、要するに、
「タイではそれだけ校長先生の権限が強い」
ということです。
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つまり、平たく言えば、
「タイの学校の校長先生は、予算を何に使っても良い」
ってことなんです。
●それとも、給食と制服を学校側で負担して、無料で生徒に配布するか、
これらはすべて、
校長先生のさじ加減1つです
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校長先生が人格者なら、予算をちゃんと生徒のために使ってくれますが、
逆に、校長先生が人格者でないなら、予算は生徒以外のことに使われます。
そして、たまたま入学した学校で、校長先生が、「人格者か、否か」というのは、
これはもう、完全に、運次第です。
つまり、
「うちの家族は、素晴らしい校長先生に巡り会うことができて、本当にラッキーだった」
ってことです。
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しかし、校長先生にも、当然、定年がありますから、
今後数年以内に、別の校長先生に交替してしまいます。
その時、新しい校長先生が、「私腹を肥やすタイプの人間」だと、予算が生徒のために使われなくなりますから、こうなると…
保護者の負担が、一気に増大してしまう恐れがあります。
うちは、一番下の子が小学校を出るまで、まだあと10年以上ありますから、
これからもしばらく、人格者の人が校長先生に就任してくれることを、切に願いたいと思うわけです。