【アカ族 ボランティア】北タイ山岳部・少数民族のボランティアで一番喜ばれるものとは?

ここに10年ほどで、海外で様々なボランティア財団が設立され、北タイの山岳地帯各地で、活動を行っています。

しかし、「ボランティア」と一口に言っても、そのやり方は一様ではなく、

「これが一番良いボランティア」という正しい答えはありません。

そのため、こうした財団や団体は、

「一体、北タイの山岳部ではどんなボランティアがいいんだろうか」と、今も試行錯誤続けているわけです。

そこで今回は、「北タイの山岳部で、現地の人から確実に喜ばれるボランティアは何か」ということについて、お話をしていきます!

北タイの少数民族へのボランティアで、最も喜ばれるものは何か。

結論を先に言うと、それは、「食事を振る舞うこと」です。

「食事を振る舞う」とはいっても、街で買ってきたお弁当やお菓子を配る、という意味ではありません。

実際、それをやっている人は多いのですが、「出来合いの食品を配る」というボランティアは…

実は、「村人の喜び、という観点から言うと、あんまり効果的ではないんです。

このことについて、もう少し、詳しく見てみましょう。

お菓子を配るのがなぜいけないの?

北タイの山岳部ではよく、外国人が、少数民族の子供たちに、お菓子を大量に買ってきて、配っているのを目にします。

子供はお菓子が大好きですから、これはこれで、子供たちには充分喜ばれます。

しかし、いくつかの問題もあります。

親も子も喜ぶもののほうがいい

まず第一に、お菓子を配っても、「親は特に嬉しくない」ということです。

お菓子は子供が食べるものですから、お菓子を大量に村で配ったところで、その恩恵を受けるのは子供だけです。

貧しい親にしてみれば、極端な話、「そのお菓子の分のお金を、現金でもらえたほうがよっぽど嬉しい」と考える人だっています。

村の生活サイクルに即したものがいい

それにお菓子は、「食事」として食べるものではありません。

もちろん、お菓子を配る外国人にとっては、「子供が喜んでくれる」と思って、やっているのですが、

子供は、お菓子をもらおうともらうまいと、どちらにしても、ちゃんと夕食を食べなければなりません。

つまり、お菓子は彼らの生活の中で、あくまでも「イレギュラー」なものですから、仮にそれを配って、子供たちが喜んだとしても、
「家族みんながうれしい」とは、なかなかならないんです。

親にしてみれば、

「お菓子は大量にもらったけれど、結局、今日の晩御飯をどうしよう…」

という切実な悩みがあるんです。

子供が喜べばOKなの?

私の住むアカ族の村でも、上記でご紹介しているような現状が実際にあり、

正直言って、「お菓子をバラまく外国人」というのは、そこまで歓迎されていません。

一方で、現地でボランティア活動をする外国人のなかには、

「子供がよろこべばそれでOK、子供の親なんて知ったこっちゃない」

…という、非常に極端な考え方をする人がいます。

事実、ボランティア活動に参加する人の多くは、「子供たちの笑顔がみたい」と考えています。

そのこと自体は、とても素晴らしいことなのですが、

「子供が大好き」がエスカレートするあまり、「親のことは別にどうでもいい」となってしまっては、それはやはり「極端」というものです。

自分の身に置き換えて考えてみると…

例えば、仮にあなたに子供がいて、家庭が貧しかったとします。

そこへ突然、外国人が現れて、有名店のとても高いケーキを、「子供にだけ」と言ってプレゼントしたら…

あなたは、どのように感じるでしょうか。

おそらく、あまりいい気分はしないと思います。

「えっ、こんな高いものいらないから、もうちょっと生活の足しになるようなものの方が良かったのに…」

と思わないでしょうか?

それと、同じことなんです。

米麺(カオソーイ)の炊き出しが、最も喜ばれる

そのため、少数民族へのボランティアとして、村で何かを振る舞うなら、原則は…

「親も子供も、食事として食べられるもの」が良いです。

「おやつ」ではありません。要は、「一食分としてカウントできるもの」ってことです。

以上を踏まえた上で、最も効果的で、かつ、多額の投資を必要とせず、みんなが確実に喜んでくれるもの、というのを考えていくと…
「米麺(カオソーイ)を振る舞うのが一番いい」

というのが、今のところ、私なりの結論です。

カオソーイというと、一般には、カレースープの「チェンマイ・カオソーイ」が有名ですが、

北タイの山岳地でカオソーイといえば、

「カオソーイ・ナムンギアオ(ピリ辛スープの米麺)」を指します。

豚骨と鶏ガラでだしを取る

なぜ米麺(カオソーイ)がいいの?

まず、山の子供たちにとって、米麺は、食べにしか食べることのできない、ごちそうです。

そして、その子供の親たちも、米麺が大好きです。

そのため、この米麺をふるまえば、参加してくれた人たちの食事1回分を振る舞うのと同じ事になります。

また、米麺は、大きな鍋で作れますから、200人分ぐらいを作っても、7千円もかかりません。

しかも、その7千円で作った料理で、200人が、おなかいっぱい食べることができます。

これで100人分以上

でも、もしも200人に、均等に何かを配るとしたら、どうなるでしょうか。

予算が7千円なら、1人35円分ずつしか配ることができません。

35円というと、2017年のレートで約10バーツですから、

10バーツのお菓子なんて、ほんの一瞬で食べてしまいます。その意味で、村人に何かを振る舞うなら…

「米麺(カオソーイ)が最も、コストパフォーマンスが優れているのではないか」

と思うわけです。

炊き出し作業が楽しい

また、大きな鍋で料理を作るのは、それ自体が、楽しい「アクティビティ」になります。

お肉や野菜を切ったり、鍋の吹きこぼれを見たり、マキを足したり、配膳したりなど、そこで様々な共同作業が生まれます。

つまり、買い出し、準備、調理から、実際に食べるまでのプロセスも全部ひっくるめて、

「一番楽しくて、一番みんなが満足してくれる」

というイベントが、「村人達に米麺(カオソーイ)をふるまう」という活動なんです。

ホームステイでの恒例行事

そのため、今回ご紹介している米麺炊き出し会のボランティアは、我が家へホームステイに来た下さった方も交えて、定期的に行なっています。

日本円で7,000円もあれば、村の子供たちやその親など、200人にお腹いっぱいの米麺を入れてもらうことができます。

先日も、米麺の炊き出し会を、盛大に行ないました。

この日は、150人ほどのアカ族とラフ族の子供たちが来てくれ、みなとても喜んでくれました。

ホームステイに関するお問い合わせは、こちらのページでもご紹介していますので、是非、ご覧になってみてください!