「オカマ大国タイ」でセクマイとFTMを考える~性同一性障害の人はタイへ旅行に来たほうが良いと言える理由

「LGBT」という言葉を、ご存じでしょうか。

「レズ(L)・ゲイ(G)・バイセクシャル(B)・トランスセクシャル(T)」のそれぞれの英語の頭文字をとったもので、

「性的少数派」を総称する用語として、近年、特につとに注目されているキーワードです。

また、「セクマイ」は、「セクシャル・マイノリティ(性的少数派)」の略。

そして、FTMとは、「Female to Male」の略で、女性から男性になった人を指し、

MTFは、「Male to Female」の略で、男性から女性になった人を指します。

今回は、「LGBT」に関するキーワードの1つである、「セクマイ」「性同一性障害」「FTM」について、タイの目線から、考察をしてみるとともに…

性同一性障害やFTMでお悩みの方々が、「ぜひタイへ旅行に来たほうが良い」と言える理由について、お話ししていきます。

ちなみに、私はノンケの男ですので、ひょっとしたら、見当違いのことを書いているかもしれません。

あくまでも、「考え方の一つ」として、お読みいただければと思います。

オカマ大国タイランド

冒頭の画像は、先日タイでニュースになった、女性同士の結婚式です。

タイは、昔から「オカマやオナベが多い国」として、全世界に知られています。

タイのオカマやオナベには、タイならではの特徴が、2つあります。

外見からひと目で分かる

1つ目の特徴は…

外見から、ひと目でオカマやオナベだと分かる、という点です。

つまり、タイでは…

オカマの人は、非常にオカマらしい外見をしていて、オナベの人も、同様に、一目でオナベと分かる外見をしている…ということです。

これ、けっこう重要なポイントです。

これは、言い方を換えると、タイのオナベは、「男に化けているのではない」ってことになります。

タイのオナベたちは、男に化けるのではなく、オナベとしてのファッションや振る舞いを、楽しんでいて…

そこには、「俺は男だ」という、外への無理なアピールがない、ってことなんです。

オカマも同様で、彼女たちは「女になる」っていうよりは…

「美しいオカマを目指す」的なところがあります。

性別が6つある

ここから、タイの性同一性障害の、2つ目のポイントを、導くことができます。
それは…

タイには、性別が6つある、ということです。

6つの性とは、

戸籍が男

・外見が男で、女が好き(ノンケ)
・外見が男で、男が好き(ゲイ)
・戸籍上男で、外見が女(オカマ)

戸籍が女

・外見が女で、男が好き(ノンケ)
・外見が女で、女が好き(レズ)
・戸籍上女で、外見が男(オナベ)

これら6つの性が、タイの町や学校、職場などで普通に共存していて、一般にも、「そういうもの」と認識されています。

なお、「タイ LGBT」で検索すると、

『タイには性別が18あるって本当?』なんていう記事がずらずらっと表示されますが…

これは、ガセです。(笑)

こういうネット記事は、基本、『話題性』だけを追及しているので、実情とかけ離れたようなトンデモ記事が、たまにあります。

「まぁ、細分化すりゃあ、それぐらいあるかもね」

っていう程度であって、タイ国民全員が、18の性について網羅しているわけではありません。

なので、実情としては、
やっぱり「6」ぐらいです。

人によって、多少の見解の相違はあるものの、全体としては…

この6つの性は非常にオープンで、タイではあたかも、6つがそれぞれ市民権を得ているような印象です。

つまり、タイでは、オカマは「女性として」生きているのではなく…

「オカマとして」「オカマらしく」生きている、ってことになります。

LGBTの問題を考えるにあたり、

『タイに性別が6つあって、それぞれが認知されている』

という事実は、非常に重要なポイントではないかと思います。

普通に話題になる

そのため、タイでは、「彼はオカマだ」「彼女はオナベだ」ということを、普通に口にしますし、

言われたほうも、「あっけらかん」としています。

ここが、タイならではのポイントだと思うのです。

隠すとギクシャクする

でも、日本の場合、「性同一性障害」で悩む人たちの多くが、

「自分は女に生まれてきたけれど、心は男だ。

男になりたい。自分は男だ」

という点を、強調しようとしますよね。

そして、ここが重要なところですが……

戸籍上女であることを、「隠そう」とします。

これが、多くのFTM(女性から男性になった人)にとっては、大きなストレスを抱えることになります。

タイでは隠す必要がない

私は、この「隠そう」という心理が、性同一性障害の問題を、ややこしくしている原因ではないかと思っています。

極端な話、FTM(女から男になった人)は、「私はFTMなんです」と、普通に言っていいと思うのです。

少なくとも、タイでは、それが可能です。

タイ人にはけっこう受け入れてもらえますし、女の子にモテたりもします。

しかし、ここで、わざと男っぽく振る舞ったり、戸籍上女であることを隠そうとしてしまうと…

それがバレた時や、バレそうになった時に、ギクシャクしてしまいます。

でも、タイでは隠す必要がありませんから、始めに「FTMです」とハッキリと伝えれば…

タイの人は、「ああ、あなたは、6つある性のうちの、FTMなんだね」って認識してくれます。

タイではMTF/FTMが分かりやすい

タイは、MTF/FTMが非常にオープンです。

FTMは、タイ語で「トム」と言いますが、

トムの人たちは、一目でトムだとわかる格好をしていて、男風でも女風でもなく、いわば「トム風」のファッションをしています。

また、周囲の誰も、それを指摘しません。

タイには、性別が6つあるため、「結局のところ、男なの?女なの?」なんていう議論が、不要だってことなんです。

「ああ、トム(FTM)なんだね、了解!」ってなもんです。

タイの学校のクラスには、普通にカトゥーイ(MTF)やトム(FTM)がいますし、

トムのほうが、ノンケの男よりモテたりします。

つまり、男女とは別に、「FTM」や「MTF」という性が、もう1つある…というような認識です。

これは、タイ以外の国で、性同一性障害に悩んでいる人たちにとっては、かなり有望な話ではないかと思うのです。

つまり、極端な話…

FTMの人は、タイでは、「男になろう」なんてしなくていいんです。

そもそも、日本では、周囲が「男」か「女」かのいずれかでしか認識してくれない…ということが、問題なわけです。

でも、タイでは、「男」「女」「ゲイ」「レズ」「MTF」「FTM」というように、人間の性が「6分類」されていますから、

そもそも「男性か女性か」なんていうことを、議論する必要自体がない、ってことなんです。

「男です」なんて言わず、「FTMです」と、相手にハッキリ伝えることができます。

濃度の問題?

あるゲイ雑誌の編集長が言っていた言葉で、非常に含蓄の深い言葉があります。

仮に男であっても、その内面を見れば、「男100で女0」なんてことは、絶対にありえない。

どんな男性にも、女性的な部分があるし、女性にも、男性的な部分がある。

外面が男でも、内面は、「男80女20」かもしれないし、「男30女70」ということだってあり得る。

単純に、濃度の問題だ」

…というような話です。

「たしかにそうかも」って思いませんか?

実際のところ、男の心の中にも、女性的なものはありますし、女性の心にも、男性的なものは必ずあります。

要は、そのバランスの問題です。

ですので、FTM(女性から男性)として生きている人も…

「自分は100パーセント男だ」なんていう風に、決め付ける必要はないと思います。

FTMであっても、女性的な部分が、まだ20パーセントぐらいは残ってるかもしれませんし、

そもそも、ノンケの男でさえ、内面が100%男性、なんてことはあり得ません。

それなら、FTMの人は、FTMであることを隠したり、「男です」なんて言わなくても…

「FTMですが、何か?」と、ハッキリ言ってしまってもよいのではないか、と私は考えています。

少なくとも、タイでは、それで完全に通用します。

隠すと、バレる

今回、私が性同一性障害について考えるようになったのは…

先日、日本人のFTMの人(女性から男性になった人)と、話をする機会があったからです。

このとき、「彼」は、「FTMです」ということを特に言わなかったので、私も、普通に男だと思っていました。

でも、話をしているうちに…

「女らしい仕草」というものが、無意識のうちに、「彼」から出ていたんですね。

でも、その時点では、私は「彼がFTM」だということを知りませんから、「違和感」を覚えることになります。

「あれっ、今の仕草は何?」みたいな。

女性的な部分は必ず残る

つまり、FTMの人が、「私は男です」と言って自己紹介をしてしまうと…

女っぽい仕草が出たときに、不自然な感じになってしまう、ってことなんです。

普通、大人同士の会話では、男の外見で現れた人に対して、「戸籍は女ですよね?」なんて聞いたりはしないからです。

「あれ??外見は男だけど、やっぱ女なのかなぁ……でも、そんなこと、わざわざ面と向かって聞くのも失礼だし……」

みたいな。

でも、「私、FTMなんです」と、始めに言っておけば…

女性らしい仕草が出た時も、辻褄が合いますから、

お互いが「無駄なもやもや」を生じさせる必要がなくなります。

少なくともタイは、MTFやFTMに対して、かなり大らかですから、

タイに来たら、無理に隠そうとせずに…

「私、FTMなんです」と、ハッキリ言ってよいと思います。

また、タイでは、その「練習」ができると思うんです。

まとめ

いかがでしたか。

性同一性障害の問題は、様々な立場の人が、色んなことをしゃべっていますので、結論なんてものはありません。

私が、今回の記事を通して言いたかったことは…

性同一性障害で悩んでいる人は、日本にいるよりも、タイにいた方が、おそらく気楽だろう…ってことです。

日本の場合、「そもそもFTMとは何か」ということから説明しなければいけませんから、この点も、性同一性障害の人にとっては、かなりのストレスですよね。

その点、タイには、2つの大きな特徴があります。

1.オカマやオナベが、ひと目で分かる格好をしていて、隠さない

2.「男」「女」「ゲイ」「レズ」「MTF」「FTM」の6つの性が、普通に共存していて、特にそれを指摘しない

…この2つです。

タイの人は、「男か女か」という二元的な判断をしないんです。

ですので、FTMの人は、タイに来たら、「私は男なんです」なんて、言わなくていいんです。

隠してしまうと、よっぽど完全に男の性格を身に着けない限り、ちょっとした仕草などで、いつかバレてしまいます。

それなら、FTMの人は、「男なんです」と言うよりも、「FTMなんです」と言ったほうが、お互い気楽です。

また、タイにはそれを受け入れる土壌があり、「FTMを好きな女性」というのも、多数います。

女性的な仕草は、無意識のうちに、必ず出てしまうものです。

そもそも「ゼロ100」で考える必要なんてありません。

タイに来たときは、「私はFTMです」と、気軽に自己紹介をするようにしてみましょう!

何か、新しい発見があるかもしれませんよ♪