前回、タイ・ミャンマーの国境エリアで、
「少数民族の女性と、タイの軍人男性とのカップルが、意外に多い」というテーマで、お話をしました。
この「国境ロマンス」では、
男の軍人の側が、国境警備軍という特殊な環境にいることも、大きな理由の一つだと考えられます。
今回は、その続編として、女性の側からの理由について、考察してみたいと思います。
タイの男>少数民族の男
まず、根本的な傾向として…
少数民族の女性にとっては、
「タイ族の男>同じ民族の男」
みたいな認識があります。
■ ■ ■
つまり、極端な例で言えば、
「隣村の男と付き合っている」
だと、自慢にはなりませんが、
「タイ族の男と付き合っている」
と言えば、友人たちに自慢できる、ということです。
■ ■ ■
タイ族は、タイ国における多数派民族ですから、やはりどうしても、
「タイ族が上で、山の少数民族が下」というような意識は、拭えません。
そしてそれは、タイ族への憧れにも似た感情にも、繋がっていきます。
こうなると、タイ人の男から言い寄られる、ということ自体が…
山の若い女性にとっては、けっこうな「シンデレラストーリー」になるわけです。
公務員>日雇い
また、タイ族への憧れに加え、そのタイ族が、「公務員」という特権階級です。
もしも公務員の男と結婚なんてできれば、タイではもう一生安泰です。
つまり、山の女性にとって、タイの軍人の男というのは…
・山の男よりも、タイの男の方がいい
・日雇いの男よりも、公務員の男のほうがいい
と、ダブルで高ポイントなわけですから、断る理由がありません。
■ ■ ■
タイの軍人男性の側には、山の女性に声をかける理由があり、
山の女性にとって、タイの軍人男性を受け入れる、十分な理由があります。
つまり、
需要と供給とが見事に釣り合っている、
ということです。
このようにして、
山の少数民族の女性と、タイの軍人男性という、異色のカップルは、
タイ・ミャンマーの国境周辺エリアにおいては、
「よくある光景」となっているわけです。
■ ■ ■
ただし、実を言うと…
破局するケースのほうが、多いです。
前回お話したように、国境警備軍も、公務員ですから、「任期」があります。
そのため、山での任期中に山で愛し合って、その後、男が別の遠い基地に異動になったら、
そのまま疎遠になる、というケースがほとんどです。
逆に、お互い、それを分かっていて、
「ひと夏の恋」
を楽しんでいるのかもしれませんね。