【タイ 通貨】なぜ50バーツ紙幣だけ流通量が異様に少ないのか

「タイの紙幣は、50バーツ札だけ、流通量が極端に少ない」

これは、タイ生活がある程度長い人であれば、ほぼ100%経験したことのある『タイあるある』の1つです。



タイで、「50バーツ札が少ない!」と感じるのは、

たとえば、次のようなケースです。



タイでお買い物をして、お会計が<158バーツ>だったとします。

日本人ならここで、おもむろに小銭を数え始め、「一の位を8」にして、<208バーツ>で支払うこともよくありますよね。

これは当然、「208-158」で、お釣りをキッチリ<50バーツ>にする、という目論見があってのことです。

しかし、

タイでは、50バーツの釣銭を、「20と20と10」の3枚で渡されることがよくあります。

日本人は、これをされてしまうと…

「えぇっ、お釣りを50札一枚にするために、わざわざ小銭を出したのに、結局小銭を合わせて50にするの??」

と、釈然としない気持ちになってしまうわけです。



しかも、これだけではありません。

この「小銭3枚」というケースを、もう一歩踏み込んで考えてみると…

41⇒20+20+1(3枚)

42⇒20+20+2(3枚)

45⇒20+20+5(3枚)

50⇒20+20+10(3枚)

60⇒20+20+20(3枚)

と、いずれも3枚で、「小銭の枚数に変わりはない」という事態になります。

つまり、

お釣りが41でも、42でも、45でも、
はたまた、50でも60でも、

どのパターンであっても、小銭は「3枚」になる、ということなのです。

なんだか、まるで超常現象のような、キツネにつままれた気分ですよね。



ここで、冒頭のテーマ。

「だったら、お釣りをちょうど50にする意味なくね?」
と、なります。



こうした事態を招いてしまうのは、とりもなおさず、

「タイで50バーツ札の流通量が少ないから」です。



でも、そもそも、なぜタイでは、50バーツ札の流通量がこんなにも少ないのでしょうか。

言い方を変えると、

なぜタイでは、50バーツ札と20バーツ札の流通量に、ここまで差が付いてしまっているのでしょうか??

50バーツ札は、スカイブルーの美しい紙幣であるが、流通量は少ない



この理由は、おそらく、

タイの庶民生活では、「5~20の価格帯のもの」が非常に多いからだと思います。

近年、タイもインフレが激しいですが、それでも、地方の農村地帯であれば、今でも、5バーツ10バーツのものが多く売られています。

こうなると、50札があっても不便なだけで、「20札が一番使い勝手が良い」というわけです。



実際のところ、

私自身、タイの山奥での生活においては、20バーツ札が一番重宝します。

それはやはり、軽食、野菜、コメ、おかず、などなど、すべて20バーツ札一枚で買えるからなのです。

まさしく、「ワンコイン」というやつです。



タイもインフレが進んでいるとは言え、やはり、タイの庶民生活で「ワンコイン」と言えば、

それは、100でも50でもなく、「20バーツ札」を指します。

日本では、二千円札が廃れて、五千円札が勝ち残っていますが、

タイは、この逆。

20バーツ札がメインで流通し、50バーツ札は「持ち合わせていない」人が非常に多い

というわけです。



なかなか、面白い現象ですよね。

タイ生活では、なるべく、お財布に20バーツ札をキープしておくようにしましょう!