以前、タイの山間部に住む少数民族の子供に、
「今一番欲しいものは何か」
と尋ねたことがあります。
その時、子供の回答が、実に興味深かったので、
今回は、少しその話をしたいと思います。
タイの少数民族の子供が欲しがったもの
かつて私は、日本人の仲間と一緒に、タイの少数民族の村を訪れ、
村にいた子供に、「今、君が一番欲しいものは何?」と質問しました。
その時、子供が答えたのは…
なんと、「腕時計」でした。
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なぜ、山間部の小学生の子が、おもちゃやお菓子や洋服などではなく、
「腕時計」を欲しがるのか…
これは、なかなか面白い現象です。
少数民族の子供が腕時計を欲しがる理由は、おおむね、以下のようなものです。
時計がない!
最大の理由は、タイの町は、どこへ行っても…
「時計を置いていない、あるいは見にくい」
というケースが、非常に多いからです。
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タイの銀行や役所、イミグレーションオフィスなどを見ての通り、
タイの公共施設には、
「来客全員がぱっと見ることのできる大きな時計」
というものが、ありません。
タイ人は時計を見ない
これはそもそも、近代以前のタイ人は、
「時間を確認する」という習慣がなかったからです。
そのため、タイでは、オフィスや役所など、
「当然時計があるべき所」に、時計がなかったりします。
逆に言えば、
昔のタイ人は、時計なんて見なくても、それで何となく生きていけた、という背景があります。
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ご存知の通り、タイは、「マイペンライ」を是とする、非常に大らかな国民性ですから、
「今何時?」ということを、昔は、だれも気にしていなかったのだと思います。
そのため、役所や銀行などで、新しい建物を建てる際にも、
「時計用の予算&時計を置くためのスペース」という発想がなく、
あとから、申し訳程度に、
「数百円で買えそうな安物の時計を置く」
というケースがほとんどです。
安物ですから、すぐに時間が合わなくなったり、壊れたりします。
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また、タイ人は面倒くさがりですから、
「電池が切れても交換しない」
ことがよくあります。
こうなると…
「大勢の人が利用する、公共の場所なのに、見やすい時計が1つもない」
という状況が、発生するわけです。
小学校に、時計がない?
そして、こうした現象は、「学校」も例外ではありません。
タイの山間部の小学校には、
皆が見えるところに、時計を置いていないんです。
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もちろん、大自然に囲まれた暮らしをしていれば、時計なんて必要ありません。
私自身、腕時計なんて持っていないんですが、
「学校」という場所では、タイといえども、一応は、
「規律や時間厳守」
というものを、子供に教えます。
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でも、タイの学校の先生たちは、「時間厳守だよ」ということは教えるくせに、
「学校に時計を設置すべき」という発想が、ありません。
そのため、山の子供たちは…
でも村や学校には時計がない。
だから、腕時計が欲しい」
…と、考えます。
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冒頭でご紹介した、
「山の子供が腕時計を欲しがった」というエピソードには…
こんなにも、馬鹿馬鹿しい理由があった…
というわけです。