【タイで温泉】チェンラーイ在住日本人の御用達、「憩いのバーンドゥー温泉」へ行ってみませんか?

今回の舞台は、チェンラーイ市内の保養地、「バーンドゥー温泉」。

場所は、ムアン郡(県庁所在地)であるが、郊外に位置しており、山の自然に囲まれたのどかな温泉地だ。チェンラーイの空港や繁華街からも比較的近いことから、チェンラーイ在住の日本人たちの憩の場となっている。

今回は、そんなバーンドゥー温泉の魅力に迫りつつ、チェンマイでは普段あまり交流する機会がない、チェンラーイ日本人会の様子をご紹介していこう。

読めばあなたも、チェンラーイに行きたくなるかも?

なお、今回の記事は、2017年1月発行の『ちゃ~お』331号に、巻頭記事として掲載されたものです。

夫婦で仲睦まじく、温泉を楽しんでみませんか?

 今回もまた、ちゃお編集部より特集記事執筆の依頼がやってきた。今回のテーマは「バーンドゥー温泉」である。

バーンドゥー温泉といっても、チェンマイ在住の読者の方々には馴染みがないかもしれないが、「チェンラーイ在住日本人なら誰もが知っている」と言われるくらい、チェンラーイでは有名で、いわばチェンラーイ日本人会御用達の、由緒ある(?)保養施設なのである。

バーンドゥー温泉の正式名称は?

 ちなみにチェンラーイ在住の日本人の間では、これを短く発音して、主に「バンドゥー温泉」という名称で親しまれている。

これはおそらく、バンドゥーと呼んだ方が語呂も良く、日本語の「板東」や「磐梯」などと響きも似ていて、日本人にとっては呼びやすいからだろう。

ただし今回の記事では、タイ人へ行き先を言う必要性なども考慮して、現地の発音に近い「バーンドゥー温泉」の名前で統一しておこうと思う。さらにいえば、バーンドゥー温泉というのも通称で、正式名称は「ポーンプラバート温泉」という。

地図で検索しても、こちらの名前の方が出てくるが、地元のタイ人にもあまり知られておらず、知っていても長過ぎるため、タイ人もバーンドゥー温泉と呼んでいる。

 ちなみに私はチェンラーイ県在住ではあるが、山奥の名もない小さな村に住んでいるため、チェンラーイ市内に行くことはほとんどない。チェンラーイ日本人会にも全くと言っていいほど顔を出したことがなく、バーンドゥー温泉はおろか、チェンラーイの町のこともほとんど知らない。

そのため今回は、私自身バーンドゥー温泉の基礎知識が全くない状態で、取材をしなければならかった。しかし、「餅は餅屋」である。チェンラーイのことは、チェンラーイ日本人会に聞こう、と思い、私は今回、『ちゃ~お』のチェンラーイ日本人会の窓口として長年お世話になっている、小倉さんに協力を依頼してみることにした。

日本人会に集合を呼びかけた結果・・・

 小倉さんは、二つ返事で快諾してくれ、なおかつ

「せっかくですから、チェンラーイ日本人会の会報に、バーンドゥー温泉取材の協力を日本人会のみんなに依頼したい、と一言載せておきましょうか?きっと、たくさん来ると思いますよー」

と、提案してくれた。なんとも頼もしい限りである。

また私自身も、チェンラーイ日本人会とはこれまでほとんどつながりがなかったので、めったにない良い機会だと思い、謹んで日本人会に協力を依頼することになった。

特集のタイトルも「チェンラーイ日本人会の憩の場、バーンドゥー温泉」に変更し、「温泉そのものだけを紹介するのではなく、温泉を愛する日本人たちにもスポット当てる」という、一風変った取材旅行がスタートした。

 待ち合わせは、新年1月6日朝10時、バーンドゥー温泉中央広場のベンチに現地集合である。この集合日時は、日本人会の会報にも本当に掲載され、すでに会員全員に告知されている。

私は10分前に現地へ到着し、

「いったい、どれくらいの人が来てくれるんだろうか?これで参加者ゼロとかだったら寒いよなぁ」

などと考えながら、寒風吹き荒ぶチェンラーイ郊外の温泉地で、日本人たちの集合を待っていた。

しかし蓋を開けてみると…

そんな私の不安をよそに、会員のタイ人家族も含め、なんと20人近くもの人が今回の取材のために集まってきてくれたのである。

「なんと協力的な人達なんだろう」と私は感動し、心から感謝するとともに、今回のバーンドゥー温泉取材が必ず成功することを確信した。

日本人料理長のお肌はつるつるだった

 チェンラーイ日本人会の須藤会長からまず初めに紹介されたのは、日本人会随一の温泉好きとして知られる、松田さん。

松田さんは、日本とパタヤで20年以上飲食店を経営してきた経歴を持つ本格派シェフで、現在はチェンラーイ・セントラルプラザ裏手の繁華街で日本料理店「作」を経営している。

【本格的なすき焼きと、トンカツが絶品!『日本食レストラン・作』のレビュー記事はこちら】

松田さんは、バーンドゥー温泉には週1回以上必ず行っているというほど、筋金入りの温泉好きだ。

そんな松田さんに温泉の魅力を尋ねたところ、「心からリラックスできること」と「夜ぐっすり眠れること」の2点を挙げてくれた。

そんな松田さんのお肌は、遠くからでも分かるほどキメが細かく、とても60代とは思えないほど、お肌にハリとツヤがあってつるつるしていた。

『赤ちゃんのようなお肌』とは、まさにこのこと。
こんなお肌が、バーンドゥー温泉に週数回行くことによって手に入れられるなら、多少の経費は「安いもの」である。

また、取材当日、温泉には多くの地元タイ人が来ていたが、みな若々しい肌をしていた。まさに、スキンケアいらずのバーンドゥー温泉である。

旧館と新館って、どう違うの?値段は?

 源泉の温度は130~150度。敷地内に入ると硫黄の香りが「もわっ」と漂い、温泉地へやってきたことを実感させてくる。

入ってすぐ左手には池があり、周囲はおしゃれな散歩道となっている。休憩用のベンチも多い。目抜き通りを挟んで池の反対側、入り口の右手が温泉の旧館だ。

一番奥の綺麗な建物が新館。いずれも、個室の浴槽で入浴する。

こちらは旧館の個室。お1人様50バーツ。

 なお部屋代は、利用する人数ごとに設定されており、1人で入るよりも2人で入ったほうが、1人当たりは安くなる。

タイの温泉は、場所によっては「2人で入ったら料金は単純に2倍」という、消費者に優しくない旧時代的な設定をしているところも多く、そうなると消費者の側も…

「だったら、1人1部屋の方がよくね?2人で1つの部屋に入るメリットがないじゃん」

と考えてしまうが、バーンドゥー温泉ではちゃんと人数ごとの部屋料金が設定されているのが嬉しい。

これなら、夫婦や友達同士で入ったり、親子3人で入ったりして、温泉を楽しむことができる。

 以下に、旧館と新館の違いをまとめておく。

両者は、建物が古いか新しいかという違いで、浴槽のクオリティ自体にはそこまで変わりはない。料金は、それぞれ1人/2人/3人で入った時の部屋料金を表す。

●旧館
場所:入ってすぐ右
料金:50/80/120
浴槽の形状:円形

●新館
場所:一番奥
料金:70/100/140
浴槽の形状:長方形

 また、個室の温泉のほか、広々とゆったりした足湯、テーブル付きの足湯、子供用の温水プール、アスレチックやフィットネス器具などもあり、意外にもアクティビティーが充実している。

また、旧館隣にはマッサージルームがあり、「町のマッサージ店よりもはるかに上手」と定評がある。そのため、毎回温泉に入るたびにマッサージをしてもらうという日本人も多い。

この日もすでに別の日本人旅行者が、マッサージをしてもらっていた。料金は1時間150バーツで、これまた嬉しい値段設定だ。

温泉内に併設のマッサージルーム

タイ人も温泉が大好き!

 常連の話では、つい数年前までお客さんはほとんどおらず、いつ行っても貸切状態だったという。

ところがここ最近のタイ人の日本ブームは凄まじく、多くのタイ人が、日本旅行を経験し、日本の温泉を好きになって帰ってくる。それをまたSNSや動画などで広めまくっているために、今や温泉ファンのタイ人が、着々と増加し続けているのだ。

日本ほどのエキサイティングな国が飽きられるようなことはまずないだろうから、タイの温泉人口は、今後も増え続けていくと思われる。

そのため現在では、バーンドゥー温泉も満室になることが多いという。早朝と夕方は、地元タイ人の常連客がやって来るので、狙い目は午前11時から午後3時ごろの真ん中の時間帯だ。

 中国人観光客がツアーバスで現れたという目撃情報もあり、我々日本人の純粋な温泉ファンにとっては、由々しき問題である。

浴室で大声を出したり、タンを吐いたり、排便したりするような客は、ぜひとも入室を禁止していただきたいものである。

夫婦で仲良く、一緒にお風呂に入ろう

 このバーンドゥー温泉で、普段日本人会の会員たちがどのような楽しみ方をしているのか、常連の須藤さんに尋ねたところ、実に興味深い返事が返ってきた。

「チェンラーイはね、夫婦で住んでいる日本人が多いんだよ。だから、お風呂もみんな、夫婦でいっしょに入るんだ」
「ええっ、夫婦で?」

私は思わず驚いてしまった。

それが日本の風習だというならともかく、夫婦で一緒に浴槽に入る、というのは、日本でもあまり聞いたことがない。これはなかなか興味深いエピソードだと思い…

「ではすみませんが、とても絵になると思うので、夫婦で一緒に入浴している写真を、ぜひ撮らせてもらえませんか?」

と尋ねたところ、同じくお風呂好きの会員である三浦さんは、

「ええ、もちろん、いいですよ」と快く返事してくれた。

三浦さん夫婦は、写真撮影だからといって特に緊張するふうでもなく、私を温泉個室へ呼び、いつも通りの自然体で、入浴中の写真を撮らせてくれた。

 写真からも分かるように、夫婦の深い愛情がひしひしと伝わってくる。

(入浴写真は、ネット上に公開することができません。あしからず…)

まるで、一緒にいるのが当たり前であるかのように。私は、チェンラーイに住んでいるそんな日本人たちが、じつに魅力的で、微笑ましいと思った。
 

地元民に愛され続けるのどかな温泉地

 この日、特別ゲストとして参加してくれたタイ人のナームさんは、なんとアセアン大会の剣道タイ代表。先程ご紹介した三浦さんは剣道家で、チェンラーイでタイ人に剣道を教えるボランティアをしている。

そんな三浦さんの一番弟子であるナームさんが、バンコクへ遠征に行く直前に、挨拶に駆けつけてきてくれたのである。恋人のターンさんも同じく国内屈指の女性剣道家で、2人とも武人らしく丁寧に挨拶をしてくれた。剣道家カップルというのは、タイではかなり珍しい。

 私たちが異色の取材ツアーを終えた頃、敷地内中央の足湯エリアでは、地元の人たちが集まって、足湯につかりながら、楽しくおしゃべりをしていた。

客同士のこうしたやりとりも、温泉ならではの光景である。

ファランもやっぱり足湯が大好き!

 最近は、バンコク出身のタイ人観光客が、寒さを求めて、大挙北タイを旅行していて、どこの観光地でもタイ人旅行者を見るようになった。タイ人旅行者が来るようになって物価が上がった、というのはよく聞く話だ。

しかし、バーンドゥー温泉はまだその事態にまでは至っていない。

地元客の割合が多く、そのためか、過度の観光地化がされていない。

願わくは、このバーンドゥー温泉が、これからもずっと変わらず、のどかな温泉地であり続けてほしいものである。

赤ちゃんはちょっと温泉を怖がっていた。

チェンラーイ日本人会から一言

 はじめまして。チェンラーイ日本人会広報担当の小杉です。

チェンラーイ日本人会は、ほとんどの方が高齢者で、会員の平均年齢は67,8歳。タイ滞在が10年以上に渡る長期滞在者も多く、みなゴルフと温泉が大好きで、健康そのものです。会員有志によるゴルフ会を週1回を開催しており、会長に至っては、ゴルフは週2回以上という力の入れようです。

その他にも、毎月1回バーンドゥー温泉に集まって友好を深め、ゆったり足湯につかりながらの情報交換会などを行なっています。

また、山岳民族の子供たちにカレーライスを作って振る舞うカレーボランティアの会、略して「カレボラ」を、不定期で開催しています。大きな鍋でカレーを作るのは、とても楽しいですよ!

 夫婦で住んでいる人が多いのも、チェンラーイ日本人会の特徴で、みな仲睦まじく、家族ぐるみのお付き合いをしています。最後に、チェンラーイの一番の魅力は、なんといっても物価の安さとのどかさです。

物価や家賃はバンコクの約半分、チェンマイと比べてもかなり安めだと思います。みなさんもぜひ、チェンラーイでのどかな田舎ぐらしを始めてみませんか?