「微笑みの国のはずなのに、タイ人はちっとも微笑まない」
というのは、近年、タイ旅行者の間では、一つの定説にさえなりつつあります。
いや、本当、最近のタイ人は、全然笑わなくなりました。
こうした状況を如実に表す、象徴的なニュースがありましたので、以下に引用してみます。
「ほほ笑みの国」と呼ばれるタイで、空港の観光客出迎え係の女性2人が「不機嫌な顔をしていた」と非難を浴び、観光警察に呼び出される騒ぎになった。
2人はタイのイメージを傷つけたとして国民に謝罪。雇用主の写真サービス会社は事実上の解雇処分にした。
2人は10代の学生アルバイト。
バンコクのドンムアン空港で伝統衣装に身を包み、到着した中国人団体客の首に花飾りを掛け、両手を合わせながら記念写真に納まる役目を担っていた。ところが、仏頂面で花飾りを雑に観光客に掛け、写真撮影の瞬間だけ作り笑いを浮かべる様子を写した動画がインターネットで拡散。
出迎え係がチップをもらった時だけほほ笑むパロディー動画まで登場した。
記者会見に臨んだ2人は神妙な表情で、「暑い日に通気性の悪い衣装を着たので疲れていた」と釈明。「不適切な行為を謝りたい」とうなだれた。
(Yahoo!ニュースより引用)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180512-00000010-jij-asia
以上は、2018年5月に、タイで実際に報道されたニュースです。
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このニュースで重要なポイントは…
当の非難を浴びているタイ人女性は、「疲れていたから笑顔ができなかった」と弁解している点。
でもこれ、言い訳にすらなっていないですよね。
なぜなら、笑顔っていうのは、内面から自然に出てくるものであって、
そもそも「努力」とか「疲れ」とかとは、あんまり関係ないからです。
かつてのタイ人は、もっと普通に笑顔ができていたと思います。
でもこの人は、「疲れていたから笑えなかった」と言っているんです。
これはつまり、
現在のタイ人は、
「努力しないと笑顔ができない」
ってことです。
本人は、言い訳しているつもりなんですが…
「えっ、君は、疲れていたら、微笑むことすらできないの!?」
って感じですよね。
日本のマックでバイトしてたら、確実にクビになります。笑
これは、けっこう由々しき事態です。
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実際のところ、
私もよくタイ人に、
「笑顔でいこうよっ♪」
とか言うんですけど、
けっこう高い確率で、
「いや、ちょっと疲れてて…」
という返答をされます。
こっちとしては、
「いや、疲れているからこそ、笑顔で元気になるのだよ」
って言いたいんですが、おそらく言葉の意味は伝わらないので、私ももう諦めています。
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つまり、ニュースに登場するこの女性が、たまたまそうだったのではなく…
現在、タイ国民の多くが、「笑顔が苦手」になってきてるんです。
「微笑みの国」なのに。
だいいち、今回の記事のアイキャッチ画像も、タイ人ではなく、ミャンマー人です。
ミャンマー人は、かつてのタイ人のように、いつも本当に良い笑顔をしてくれます。
でも、
タイ人の笑顔の画像は、近年では、撮るのも探すのも大変なのです。
あってもせいぜい、「タイ航空のポスター」ぐらいです。
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そのため、現在は、たとえばバンコクに、数日間滞在したとしても、
タイ人の笑顔を見る機会は、
確実に減ってきています。
現代タイ人の多くは、今回のニュースのように、上司や警察から強制的に命令されないと、自分からは笑えないからです。
正直、
「日本のスーパーとかファーストフードの店員さんの方が、よっぽど良い笑顔をくれるんじゃないの?」
と、思いたくなるほどです。
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やっぱり、タイ人の笑顔って…
心から出ているものではなく、ある程度努力して、作っている笑顔なんです。
そのため、ちょっとでも疲れたり、悩みがあったりすると、
途端に笑えなくなってしまうわけです。
今回のニュースみたいに。
今後はむしろ、日本人がタイ人に対して、笑顔を教えていくようになるかもしれないですね。
【 タイで可愛げのない子供が増えた理由 】
↑こちらの記事も、参考になさってみてください。
追記
また、この「笑わないタイ人」のニュースは、タイではかなり大きな波紋を生じ…
その後、いくつかの「後日談」的なニュースも報道されました。
そりゃあそうですよね。
タイは「微笑みの国」が売りだったのに、それを根底から覆してしまうニュースなのですから。
いわば、タイという国の「アイデンティティー」にも関わる、一大事です。
興味のある方は、こちらの「続編」の記事も、ご覧になってみてください。